奄美大島紀行 2019.02.12~15 田中一村の世界

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長年念願であった田中一村の絵に会いに、記念美術館のある奄美大島に渡った。常設展と特別展が開催中で、圧巻の絵を直に見ることができた。

巡回展が多いので、この地での常設展示会は期間が短い。


昨年が生誕110年であった。

パリでも展覧会があったようだ。
https://bijutsutecho.com/magazine/insight/18228

田中一村は南画の出身で東京美術学校同期には東山魁夷などがいる。

病気で途中退学してしまうが、50歳で奄美に渡り画業に打ち込む、日給450円の染色の仕事をしながら、お金が貯まると画に没頭する、という生活をしていたようだ。

その絵は世に出ることもなく69歳で亡くなるが、その後発表されるや、斬新な画法とその南国の画そのものに多くの人が魅了され知名度が広がった。

2004年5月に札幌の丸井今井デパートで巡回の展示があり、多くの人が押し寄せていた。

当時も圧巻であった。

南国の植物、鳥、魚類の精緻に置かれた構図と墨絵を思わせる色使い、筆使いに魅了された。


この時はいかんせん、会場が狭すぎて鑑賞には程遠かった。

しかし、この時に購入した図録は宝ものだ。

沖縄に先駆けて日本復帰を果たした、奄美群島50周年記念で全国巡回された田中一村展の図録だ。


昨年11月に航空券と宿を予約し、偶然、仕事が忙しい時期になってしまったが、周りの協力を得て無理して渡った。

2月12日、札幌の自宅を7:20に出て、羽田空港経由で奄美空港に着いたのは14:30。

千歳空港を出発してすぐ眼下に空港と遠くに樽前山が見えた。

雪の空港も奇麗なものだ。
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奄美で予約していたレンタカーに乗り、空港傍にある奄美パーク内の田中一村記念美術館に向かう。


そのエントランス
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中に入るとすばらしい空間が広がる。

浅い水盤のような池の上に分断された展示室がつながる。
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冒頭の入り口から展示室に入る
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写真は禁止なので、ここまで











実物を直にゆったりと鑑賞できる、すばらしい美術館だった。


余韻の残るまま、屋外に出ると、一村がモチーフに使った植物が植えられた庭があり、散策できた。

ガジュマル、幹から根を直接地面に下ろす独特の形態は南国の植物だ
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実をつけたアダン(タコの木)、
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これはモチーフには使われていなかったが、あたりにはハイビスカスが咲いていた
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2月は奄美も冬、最低気温が12℃、最高でもこの日は17℃だった。








展望台からの眺め、右下の建物が記念美術館
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30数キロ離れた名瀬のホテルに向かう。

夕食はホテル第一の推薦の居酒屋で、地元で獲れた魚介類などを黒糖焼酎をお湯割りで飲みながらいただく。

〆はこれも地元の食事「鶏飯(けいはん)」  (後で写真を出します)

期待以上の美味しさだった。

旅も食事が美味しいと元気が出る。





翌13日はマングローブでのカヌーと奄美の原生林のツアーを予約していたが、雨と風で翌日に延期。

こんなこともあろうかと、もう一日余分に予定を入れておいた。

雨の中、奄美パーク展示館を見学し、奄美の生活の知識を得、やはり沖縄に近いなぁと思う。

ソテツの実を食べていたことを初めて知った。


西郷隆盛の住んだ家を観に行く途中で、これも一村の重要なモチーフになっているビロウ樹(下の方の葉)を見つけて撮影、ここはパークゴルフ場の入り口だった。
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これが西郷隆盛の住んでいた家  西郷南洲流てき地跡、現地妻の龍家の子孫が復元して管理していた。
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このブログを書いている時にBIGLOBE ウェブリブログの公式ブログ担当から「おすすめブログ」にこの「北の山旅礼賛」を紹介しているというメールが届いた。

かなり詳しく紹介されている。
https://osusume.at.webry.info/201902/article_1.html

紹介してくれるのは嬉しいが、人気を得ようと始めたわけではないので、少しこそばゆい。

この記事はすぐ消えてしまうかもしれないので、コピーしたので、後で全文載せておくことにする。






途中に挟んだが、続ける。

その後、近くの奄美自然観察の森に車で登ってみた。

かなりワイルドで歩道は工事中だった。

それでも一村の絵のモチーフの一つ、食わず芋、これは食べても触れてもだめな植物ということだった。
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展望台に登ってみると、龍郷の湾が見下ろせた
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名瀬に戻る途中で路傍の食事どころ「てっちゃん」に寄る。
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ここで「鶏飯」ではなく、人気があるという「てっちゃん丼」を食べた。

鶏肉の照り焼きを細切れに切ったものが野菜とともに乗っていた。

ご飯にまぶして食べた。







名瀬よりも少し南側の東シナ海に面した「大浜海浜公園」に冬の海を見に行く。

実はこれがお目当て、海とアダンの木
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アダンのタコ足から覗く海、夕景ではないが、これも一村の絵のモチーフ
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公園の中の見事なガジュマル

ガジュマルとトラフズク(ふくろう)もモチーフだ
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海浜公園内の海洋展示館に入ると二階分の水槽があり、多くの魚が泳いでいるが、その中に若ウミガメが数頭泳いでいる。

このカメ達に餌をあげる「もぐもぐタイム」があった。

お客(私たち)から餌のキャベツをもらっている。

寄ってきたウミガメ、人懐っこい
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宿に戻り、夕食はホテルお勧めの二番ではなく、三番人気の店に行ったが、これは外れだった。

昨日のお店の印象が良かっただけに、この日のお店は期待外れ。

黒糖焼酎だけは相変わらず美味しかった。




翌14日は天気もまずまず、9:00にツアーガイドがホテルに迎えに来てくれた。

住用のマングローブは日本二番目の広さで干満の差が2mとのこと。
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これから満ち潮になるらしい。






ライフジャケットを着込んでもう一組のツアー客と二人乗りのカヤックにそれぞれ乗り込み、ガイドの案内で太い川から(潮が満ちてくるので逆流していた)細い水路に入る。
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マングローブはこのような海水と真水の入り混じるところの植生域で、木の種類はいくつかあるとのことだった。

主な樹種はメヒルギとオヒルギ、見分けは花と根

これはオヒルギの花、まるでお弁当のタコウインナーだ
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これは呼吸根が出ているところ

とても奇妙な雰囲気だ
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太い水路でのんびり川下りしながら、操船がまずまずだったので時間に余裕ができたらしく、ちょっと水路が細く流れの早い、木の枝が混んでいるところを「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」と言って連れていってくれた。確かにインディジョーンズの世界だ。
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このマングローブには多くの魚と甲殻類が住むという。

地面、海底に穴が開いているのは皆甲殻類がいるとのこと。

蟻塚のように大きなものはアナジャコという大型の蝦蛄の巣だそうだ。

若い木もたくさん育っていた。
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カヌーを上がって、岸辺に咲くシキミの花を
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名瀬に一回戻り、お昼を食べてから午後の部、原生林「金作原(きんさくばる)」へ

これは「鶏飯」の名店「鶏しん」
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ここでは私は「鶏飯」を、カミさんは「黒豚パパイヤ丼」を食べた。

「鶏飯」の写真、鳥スープを掛けて食べる雑炊、お茶漬けのようなもので、美味しかった。
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昼からのガイドは変わって、若い女性だった。

徳の島出身の情熱的なネイチャーガイドだった。

今回の旅の目的は第一に田中一村の絵、その世界、第二にヒカゲヘゴを見ることと撮影することだった。


金作原(きんさくばる)は奄美の原生林で20数年前にヒカリヘゴの写真が発表されて知られるようになった。

一村の絵の中には出てこないが、一村が撮った写真の中にヒカリヘゴがあった。


未舗装の狭い曲がりくねった山道を延々と登る。

道端にヒカリヘゴの小型が出てくる。


やがて、車を止めて人だけを通す山道を歩く。

ガイドは珍しい植物を紹介してくれる。

これはアマミテンナンショウ、マムシグサです。
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出ました、ヒカリヘゴ、これが見たかった、撮りたかった。
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10数メートルの高さのシダ類で、幹は根だとのこと。

幹は毛羽立ち、縮毛のようで、上部はウロコのようだ。

望遠でアップしてみる。

この小さな葉の重なり、逆光でのシルエットが美しい。
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この倒れた幹の内部はフカフカしたスポンジ状のもので、これが観葉植物などを育てるヘゴになるのだそうだ。








ガイドさんに撮ってもらった。

ローアングルで仰ぎ見ているので、足が長く見えて嬉しい。
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しっとりとした奄美の亜熱帯の森は美しい。

寄生植物の谷渡(たにわたり)

この若芽やヒカリヘゴの若芽も食用になるのだそうだ。
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板状の根を持つオキナワウラジロガシ。

この根でテーブルなどを作っていたらしい。
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アマミエビネという蘭も盗掘にあっているとか、

今は葉しか見られなかった。

ハブ駆除のために放されたマングースを捕獲するためにマングース・バスターという組織が活躍しているらしい。

奄美のクロウサギや天然記念物のカエルを守るためだとか。


また、ガイドがふざけた写真を撮ってくれた。
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木の切り株の上でおどける小人の設定らしい。

若い人がやっていたことの受け売りだと。








ヒカリヘゴの若芽、一日でどれくらい成長するのだろう
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帰りの林道で車を止めてもらい、ヒカリヘゴを上から撮影した。
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十分満足してホテルに戻り、ホテルご推奨の第二位の店に行った。

ここもなかなか良い郷土料理をおまかせで食べることができた。

でも、最初の店の印象が良かったせいか、ちょっとかすんでいるのは残念だった。




翌15日はもう帰る日、午前中は時間があるので、金作原までレンタカーで舗装道路だけを走ってみる。

ヒカリヘゴを数枚撮ったが前日の写真の方が優れていた。

奄美博物館にも寄ってみた。



街中には終わりかけの緋寒桜、満開の八重桜が咲いていた。
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田中一村の世界の鳥類、魚介類、植物、花でまだ遭えていないものがたくさんある。

また、時期を替えて訪れたいところだ。

大島以外にもいくつかの魅力的な小島がたくさんある。


11:55のJALで奄美を発ち、伊丹空港経由で千歳には17:30に到着した。

比較的暖かい北海道でほっとした。







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この記事へのコメント

tetsu
2019年02月17日 09:19
寒い北海道を捨てて奄美に永住でしょうか
わざわざ我が家に寄っていただきありがとうございました
山岳一歩
2019年02月17日 14:20
tetsuさん、これは長年の夢だったのですよ。
2月は当地も冬で観光客も少ないし、常設展もやっているし、この時を待っていました。
てっちゃんを見つけた時は「ぎょっ!」としました。
こんなところに実家があるとは(笑)、ハブが守り神のようですよ。
prosperity_pie
2019年02月18日 08:46
相変わらずのフットワークの軽さに驚愕しました!この画家さんも初めてお名前を聞きました。というか。。。奄美大島って九州にあったのですね。てっきり沖縄県かと思っていました。。。(恥)。南国の自然美も北海道とはまた違った風土や空気に育まれていて素晴らしいですね。

山岳一歩
2019年02月18日 09:28
prosperity_pieさん、田中一村、すばらしい画家で画業でした。
南国で日本画を昇華させたのでしょう。ネットで作品をご覧になってください。
アダンやビロウ、ソテツなどを見たくなりますよ。

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